当院での矯正治療

最近の当院での矯正治療

初めに・・・矯正歯科治療に伴う一般的なリスクと副作用について

1. う蝕、歯肉炎を引き起こしやすい。
装置装着時にその装置にあった歯ブラシ等の使い方を説明し練習していただきますが、実行するのは患者さん自身ですので治療を受ける前にしっかり考えて決めてください。

2. 歯根吸収
歯の根っこの先が吸収され短くなることです。歯科矯正治療を受けた場合は、多かれ少なかれ起こります。 起こらないよう対策はありますので慎重に治療を進めていきます。
3. 後戻り
歯を動かす治療が終わってから勝手に歯が動いてしまうことがあります。こうならないように、前歯の裏側に細いワイヤーを張り付け固定し長期間その状態を維持していきます。他にリスクではないですが不快事項としてお伝えしなくてはならないことに、痛みがあります。歯に力をかけると、翌朝から三日間食事の時にものを噛むと歯に響く痛みがあります。成人の方ほど強く出る傾向にあります。以上のことをよくお考えになったうえで、治療を受けられるか否かお決めください。

固定ねじ anchor screw

歯並びが悪いという状態で誰しもが気づくのは、歯がガタガタしていると状態だと思います。
では、歯がガタガタに並んでいるということはどういうことでしょうか。人は、6歳のころに第1大臼歯(歯列の奥に生えてくる大きな永久歯)が萌出します。

歯がガタガタしているということは、左右の第1大臼歯を連ねた歯列の長さと、その間に萌出する10本の永久歯の長さの合計と比べて、歯の長さの方が大きいということです。

これを解決する方法は概ね2つあり、ひとつは大臼歯を奥へ移動し、左右の第1大臼歯を連ねた歯列の長さを長くし歯を抜かずに治す方法と、もうひとつはどこかの歯を抜いて歯の合計の長さを短くする方法です。

どちらにしましても、歯列内にある歯の中で、動かしたい歯と動かしたくない歯に分けられます。
例えば、矯正治療では第1小臼歯(前から数えて4番目の歯)を抜いて治療進めていく場合があります。

この場合、抜いた歯を境にして動かしたい歯は前歯、動かしたくない歯は奥歯になります。

固定ねじ
固定ねじ

(図1)治療を進めていきますと、前歯は後ろに、奥歯は前へ動きながら抜いた場所が閉鎖していきます。症例によっては前歯を大きく後ろに動かしたい場合があります(逆に言うと、前歯を大きく後ろに移動したいから第1小臼歯を抜くのですが)。

この場合、従来でしたらヘッドギヤー(図2)という装置を毎日、長時間使ってもらわないとうまくいかなかったのですが、最近のやり方として、固定ねじanchor screw(図3)を臼歯部あたりに埋めて、これを支えとして動かしたい前歯に力をかけていきます。

臼歯部には力がかかりませんから動きませんし、前歯部はしっかり移動します。これには大きなメリットがあり、前述のヘッドギヤーを患者さんはまったく使わなくてすみますし、治療が予定通り進み、患者さんのいろんな面で負担が大幅に軽減されます。

若干治療費が増えますがそれ以上の見返りがありますので、最近はこれをお勧めしている方が多くなっています。

舌側矯正装置

歯の表の面にワイヤーを通す装置

皆さんが矯正装置と聞いて思い浮かべるのが、右の写真のような歯の表の面にワイヤーを通す装置だと思います。
昔は金属の装置で非常に目立ちました。
これが矯正治療を受けることのためらいの大きな原因だったと思います。

当院では、数年ほど前から金属でない白色系の素材の装置を前歯に標準で付けており、これからはワイヤーも白色のものを、ほぼ全治療期間用いることも可能です。

舌側矯正装置

ただ、ここまでしても装置自体は見えることは見えます。 まわりにできるだけ気づかれたくない、というご希望には、歯の裏側につける装置を用意しております。いわゆる舌側矯正装置(右の写真)で、これだとみえにくいだけでなく、治療していることも気づかれにくいです。

治療結果も、表からつける装置と比べほとんど遜色ないものが得られます(下記画像参考)。 写真に写っている装置は、今となっては古いタイプの装置で、今はもっとコンパクトになり舌で触っても快適性が格段に向上しています。近じか写真を用意しアップします。

治療結果

20才、女性。八重歯を主訴に来院されました。 上顎の犬歯が完全に歯列の外側にありますので、犬歯の後ろの小臼歯を抜歯して治療を行いました。治療期間3年、治療費約85万円、術後は大きく歯根吸収している歯はなく、う蝕、歯周病もみられませんでした。後戻りしないかは現在、保定装置を装着し、診察中です。

治療結果
22才、女性。叢生を主訴に来院されました。叢生の原因は歯列が側方に捻り状態であり、歯がきれいに並ぶための場所が不足していることであるため歯列を側方に拡げてから歯の排列を行いました。したがって歯は抜かないで行っています。治療期間2年6か月、治療費75万円、治療後はう蝕、歯周病、歯根吸収は見られませんでした。約7年間保定期間を終え、終了しています。

このように最近では、患者さんにできるだけ負担をかけず、装置自体も審美性の高いものを提供できるようになってきていますので、一人でくよくよ悩まずに当院へ相談に来てください。 またその時はいろいろとわがままを言ってください。できるだけお応えするように配慮します。

【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクと副作用】 後戻り、歯根吸収、う蝕、歯周病、疼痛等があげられます。

噛み合わせと気道まで見据えた、本質的な矯正治療を

歯並びが気になる、噛み合わせがしっくりこない、見た目に自信が持てない——
矯正治療を考えるきっかけは、人それぞれです。
今や矯正治療は特別なものではなく、幅広い年代の方々が前向きに受けられる時代になっています。

ただし、矯正治療は“見た目を整える”ことだけが目的ではありません。
正しい噛み合わせや、舌・呼吸・気道といった口腔機能まで見据えた治療こそが、将来にわたる健康と美しさを支えるカギとなるのです。

当院では、単に歯を並べるだけでなく、噛み合わせ・気道・顎の骨格といった「見えない部分」までしっかり診ていくことを大切にしています。
その結果、治療が終わった頃には、見た目以上に「呼吸が楽になった」「寝つきがよくなった」「気づいたら笑顔が増えていた」というような、人生の質を変えるような変化が訪れることも珍しくありません。

矯正治療にも“質”の差があります

矯正治療を行っている歯科医院は数多く存在しますが、すべてが同じ質というわけではありません。
実は「歯並びを整える」ことと「噛み合わせや口腔機能を整える」ことは、似ているようでいて、全く別物です。

私たち矯正専門の歯科医院では、歯のならびだけではなく、顎骨の形・成長・筋肉の動き・気道の状態などを総合的に診断し、一人ひとりに最も適した治療計画を立てていきます。

治療後の安定性や後戻りのリスクを最小限に抑えるためにも、骨格や機能に合った治療は非常に重要です。
また、患者さんが治療を前向きに頑張ることで、見た目だけでなくメンタル面でもポジティブな変化が期待できます。自分に自信が持てるようになる——そんな患者さまをたくさん見てきました。

当院が実践するアメリカ式「MOOテクニック」とは

日本では、前歯の位置を基準に治療計画を立てるスタイルが長らく主流でした。
このアプローチは、どうしても歯を並べるスペースが足りない場合に小臼歯の抜歯が必要になりやすいという特徴があります。

特に顎の小さい日本人においては、たとえ骨格的に抜歯が不要な場合でも、前歯のガタつきだけを理由に抜歯を選択されてしまうケースも少なくありません。

私たちが採用しているのは、アメリカで発展した「MOO(Molar Oriented Orthodontics)テクニック」という考え方です。
これは、大臼歯を最初に正しい位置に導くことで、自然と前歯を並べるスペースを作っていくというアプローチです。この手法によって、抜歯が必要でなくなる可能性が格段に高まります。

気道を守る矯正が、健康な未来につながる

当院の矯正治療でもう一つ重要な柱となっているのが、「気道(エアウェイ)」への配慮です。
気道とは、口の奥・鼻の奥を通って肺へとつながる空気の通り道のこと。舌のすぐ後ろ、顎の骨の奥に位置しています。

抜歯治療を行って歯列の長さが短くなると、舌の居場所が狭くなり、後方に下がりやすくなります。その結果、気道が狭くなり、呼吸がしづらくなるリスクがあるのです。

一方、非抜歯で歯列を広げながら整えるMOOテクニックでは、舌の位置や気道のスペースが確保されやすく、呼吸や睡眠の質を守る治療が可能になります。

実際、気道と睡眠の関係は近年非常に注目されており、気道が狭いことで起こるいびきや睡眠時無呼吸症候群は、大人では高血圧・糖尿病・心疾患など命に関わる病気の引き金になることもあります。
特に重症例では、8年間放置すると約4割が死亡するとも言われており、決して軽視できるものではありません。

また、子どもの場合は、睡眠の質が学力や性格の形成、集中力や成長ホルモンの分泌にまで関わると言われています。つまり、呼吸を守る矯正は、その子の将来までも左右する可能性があるのです。

私たちがめざすのは、"歯並びの先にある人生の豊かさ"

矯正治療は、見た目を美しく整えるだけでなく、噛む・話す・呼吸するという生命の根幹を支える機能を整える治療です。
そして何よりも、それを通して自信が芽生え、笑顔が増え、人生が明るくなる——私たちは、そんな変化を何度も目の当たりにしてきました。

私たちは常に最新の技術・知識を取り入れながら、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの矯正治療を提供しています。
その方の骨格・ライフスタイル・ご希望に寄り添いながら、「一生ものの治療」をご提案していきます。

もし、
「なるべく抜歯を避けたい」
「睡眠やいびきが気になる」
「将来まで見据えた矯正を受けたい」
そう感じたなら、どうぞお気軽にご相談ください。

きっと、あなたの未来が変わるきっかけになります。