前医での初診の状態は、図―1を見てください。その当時、上下の前歯の叢生を気にされて治療を始められ、今回図―2の状態で当院に来られました。
これだけだと、前歯の叢生は取れ直っていると判断されます。そう、直ってはいます。それで、持参された、前医が書いた治療継続依頼書を読んで、唖然としたわけですが。その理由は、第1に、下顎の第2小臼歯が先天的欠損している(生まれつきない)こと。第2は、患者さんが既に支払った治療費の額、でした。
次に、治療費についてお話しします。前医の医院での治療費の設定は、治療継続依頼書によりますと、「一つの装置がOO円」となっています。具体的には、1装置15万円の設定になっていました。という事は、依頼書にも書いていましたが、上下で合計四つの装置を使っていますから、15×4で60万円、患者さんは支払っていました。もしこの治療費の設定で、小生が考える治療方法で行えば、装置は二つしか使っていませんから30万円になります。さらに言いますと、このホームページの治療費案内のページに、当院における治療費の設定を載せています。標準治療で当院では総額60万円、この症例の場合は、第1期治療にあたりますから、総額の40%で24万円という事になります。
初診相談の時、今後当院で治療されるという事ですので、オブラートにくるんだような言い方はできません。治療方法についてはありのままに患者さんの母親に、上に書いている内容のお話ししました。患者さん本人もかなりショックを受けておられました。次回診断説明時、父親が来られ当医院での治療費についても話さなければなりません。誤解のないように丁寧に対応したいと思っています。
同じ矯正治療と言っても、治療方法、治療期間、治療費どれをとっても、術者によってまちまちです。車を購入する場合、同じ車種であればどこで買っても車の性能は同じですから、あとは購入価格の比較になるのでしょうが、矯正治療の場合は全く違うという事を肝に銘じておいてください。これが実際の状況です。初診相談を受けている時に、すでに複数の医院で相談を受けられており、治療費だけで判断されているのかなと感じることがよくあります。こちらとしましては、説明が足りなかったかなと反省しなければならないのですが、患者さんの方も、お金のことは大事ですが、矯正治療ではもっと重要なことがありますから、それを聞き逃さないようお願いします。