先日、日本睡眠歯科学会に参加してきました。
今回の学会は、日本睡眠歯科学会だけではなく、日本睡眠学会、日本睡眠検査学会との合同開催で行われ、会場には医師、歯科医師、臨床検査技師をはじめ、多くの医療従事者が集まる非常に大規模な学会でした。
私自身、これほど多くの職種が「睡眠」という一つのテーマについて真剣に議論している場に参加し、改めて睡眠医学の重要性を実感しました。
子どもの睡眠に対する危機感は医科も歯科も同じでした
今回、特に印象的だったのは、どの学会・どの講演でも「子どもの睡眠」が大きなテーマになっていたことです。
睡眠不足や睡眠の質の低下は、単に眠たいという問題ではありません。
身体の成長、脳の発達、学習能力、集中力、情緒の安定など、子どもの心身の発育そのものに大きな影響を及ぼすことが、数多くの研究で示されています。
そして驚いたのは、多くの医科の先生方が「お口ぽかん」について講演されていたことです。
これまで「お口ぽかん」や口呼吸は歯科が中心となって取り組むテーマという印象を持っていました。
しかし実際には、小児科や耳鼻咽喉科、睡眠医学の先生方も、口呼吸が顎顔面の成長や全身の発育、さらには睡眠の質にまで影響することを強く危惧されていました。
「子どもたちの健やかな成長を守りたい」
その想いは、医科も歯科も全く同じなのだと感じ、とても心強く思いました。
まだ十分な連携ができていない現状
一方で、多くの先生方がお話しされていたのは、「医科と歯科の連携がまだ十分とは言えない」という現状でした。
睡眠や呼吸、口呼吸について深く学ばれている先生方がいる一方で、まだ十分な知識が普及しているとは言えず、医科・歯科の双方で共通認識を持てていないケースも少なくありません。
その結果、本来であればもっと早く介入できたはずのお子さんが、適切なタイミングを逃してしまうこともあります。
この現状に、多くの先生方が危機感を抱いておられたことが非常に印象的でした。
だからこそ、今後は専門分野の垣根を越えて、お互いが正しい知識を持ち、必要な患者さんを紹介し合える関係を築いていくことが重要だと改めて感じました。
私たちが行っている診療の方向性は間違っていなかった
今回の学会では、私自身にとって大きな自信につながる発見もありました。
当院では、子どもの矯正治療において単に歯並びだけを見ることはありません。
レントゲン(セファログラム)や口腔内写真、お顔の写真などを詳細に分析し、お子さん一人ひとりの顎顔面の成長や呼吸、気道の状態まで考慮しながら診断・治療を行っています。
今回の学会で発表された最新の研究やエビデンスを聞く中で、私たちが日頃から行っている診療の方向性は、現在の睡眠医学や成長発育の考え方とも非常に一致していることを再確認することができました。
もちろん、まだ分かっていないこともたくさんあります。
だからこそ、新しい知見を学び続け、常にアップデートしていく姿勢が大切だと感じています。
「装置を入れて終わり」では子どもは育ちません
最近では、小児矯正において「マウスピースを入れて舌のトレーニングをすれば大丈夫」といった説明を耳にすることがあります。
もちろん、舌の機能訓練はとても重要です。
しかし、それだけで子どもの成長を正しく導けるほど単純なものではありません。
本当に治療がうまくいっているのか。
顎は期待した方向へ成長しているのか。
気道は改善しているのか。
骨格はどのように変化したのか。
これらを確認するためには、治療前後でレントゲンを重ね合わせる「セファロの重ね合わせ」などによる客観的な評価が欠かせません。
治療結果をきちんと検証し、その結果を次の患者さんへ生かしていく。
それが医療であり、エビデンスを積み重ねるということだと私は考えています。
柳沢正史先生にお会いできました
そして今回、個人的に最も感激した出来事があります。
睡眠医学の世界的権威であり、オレキシンの発見で知られる柳沢正史先生にお会いすることができました。
さらに、著書にサインまでいただくことができ、本当に嬉しい時間となりました。
先生のご著書は、専門家だけでなく一般の方にも非常に分かりやすく書かれており、「睡眠とは何か」を知るための一冊として心からおすすめできます。
先生からいただいたサインの言葉も、睡眠医学を長年牽引してこられた柳沢先生だからこそ重みがあり、大切な宝物になりました。
子どもの未来のために
睡眠、呼吸、口腔機能、顎顔面の成長。
これらは決して別々のものではなく、すべてが密接につながっています。
そして、そのすべてを一つの診療科だけで完結させることはできません。
医科と歯科が正しい知識を共有し、それぞれの専門性を生かしながら連携していくことが、子どもたちの健やかな成長につながると私は信じています。
みやもと矯正歯科医院は、これからも最新の知見を学び続け、科学的根拠に基づいた診療を大切にしながら、お子さま一人ひとりの将来を見据えた矯正治療を提供してまいります。













